「なんで勉強しなきゃいけないの?」に親は何と答えてますか?

数日前にニュースで各国の授業傾向が話題になっていました。
アメリカ、中国、韓国、日本の4か国高校生7,854人の回答です。

日本の授業、受け身的=4カ国高校生調査-青少年機構
日本の高校生が受けている授業は米国、中国、韓国に比べて受け身的で、生徒はきちんとノートを取る一方、居眠りをする割合も高く、グループワークなどへの参加は消極的という調査結果を、国立青少年教育振興機構が13日に発表した。

引用元: 2017/03/13 時事ドットコムニュース

「ノートをきちんととる」が一番なのは想像どおりで頷けますけど、居眠りって…。
「居眠りしますか?」って設問があるってことですよね。
そんな質問自体恥ずかしい気がしますが。

勉強の仕方の設問では、日本は「試験の前にまとめてする」が69.3%でトップ。
「できるだけ自分で考えようとする」「勉強したものを実際に応用してみる」「教わったことを他の方法でもやってみる」などは最下位だった。文章や表計算のソフト活用、ブログやホームページの作成・更新、簡単なプログラミングをするなどの割合も、日本は米中韓を大きく下回った。

70%が試験の直前に勉強する。
結局、「考える」ことより「暗記」することに試験の比重が置かれているから直前に勉強することになるのです。試験をパスすることが目的だから勉強も試験に即した方法になる。

日本が4か国で最下位の

  • できるだけ自分で考えようとする
  • 勉強したものを実際に応用してみる
  • 教わったことを他の方法でやってみる

勉強したことを自分なりに考え、生活の中で応用してみる
これが本来の勉強であって、試験に合格することが勉強のゴールではないのです。

上のアンケートが物語るように、日本の学校では試験に受かるにはどうするかが授業の中心になっています。そうしないと受験に勝てないし、よい大学は入れないし、いい会社に就職できないし・・・と大きなシステムに組み込まれちゃっているのでそう簡単に変更はできません。よい大学、いい会社って何?という疑問もあるのですが、盲目的に親も子供もまわりの皆もその道を歩いているからおかしいとは思わないんです。

どうすればシステムに呑み込まれずに本来の勉強ができるのか?

私は小学生時代こそ「鍵」があると思っています。
子供から一度は聞かれたことがあるこの言葉。

「なんで勉強しなきゃいけないの?」

この質問が飛び出したときこそ、子どもと勉強について話すチャンス!

勉強する意味は家庭で教える。
やる気が出るスイッチを学校に求めてはダメ

いい会社に就職した先にはなにがあるのでしょう? 安泰で幸せに暮らせる保証?
いい高校に入って、いい大学に入って、いい会社に就職するためよ」なんてステレオタイプに答えてませんよね…?何十年も神話のように信じられていたこの答えはもはや崩れていることは明白です。なにより、子供たちはその答えを聞いて「そうだったのか!じゃあ勉強しよう!」となるでしょうか?

うちの場合はこんなふうに答えました。

勉強するとできることがどんどん増える。買いものだって、お菓子づくりだって勉強したからできるでしょう?勉強して自分の頭で考えて問題を解く過程が大事。勉強の方法を身に付けておけば好きなことが自分でできるようになるよ。

日常の生活場面で学習したことをちょこっと挟んだりしておくと、子どもは「なるほど」と腑に落ちるようです。

4か国の中で一番低かった「自分の頭で考える」は、学校に任せっきりでは難しい。
先生の教え方の個性は多少あるかもしれませんが、大きなシステムの中の一部を担っている現状を考えると、先生が子どもの勉強をやる気にさせてくれると考えるより、それぞれの家庭が子どもの興味にあわせて「やる気スイッチ」を入れていくのが賢明でしょう。

「自分の頭で考える」を身に付けるフィンランドの子供たち~子どもと一緒に考えてみる

日本は選択式の回答が多いですよね。
娘のテストを見ても相変わらず「次の回答から適切なものを選びなさい」が並んでいます。
記述式も増えてはいますが、採点側の思惑が透けてみえる気がしてしまいます。

昨年公開されたマイケル・ムーア監督の「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」では、学力到達度調査(PISA)で世界トップクラスを誇るフィンランドの教育に切り込んでいます。

※PISA(Programme for International Student Assessmen)
OECD(経済協力開発機構)が1988年よりはじめた事業。15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに本調査を実施。単なる知識ではなく、自ら主体的に考える力、問題を解決する能力が求められる。

フィンランドでは宿題をなくし授業時間を少なくしたにもかかわらず、学力が伸びている。

監督も驚いているように、英語しか話さない、日本語しか話さない人にとってはマルチリンガルはものすごい才能のようにも思えますが、ヨーロッパで数か国語を操るのは珍しいことではないのでしょう。国が隣あって両親が別の国という人も多いでしょうし、小さいころからおじいちゃんとはフランス語、おばあちゃんとはドイツ語など親戚が数か国にまたがるというのも想像できます。

しかし、アメリカ留学から戻った生徒が選択式のテストが少ないフィンランドがよい、というのは衝撃的です。(そう思うこと自体、日本の教育にどっぷりなわけですが)「選択肢がなくて一体どうやって答える?」という監督に「自分で書く!だから正確に理解していないといけない」と間髪いれず答える子どもたち。日本の教育を受けてきたならマークシートの方が運でなんとかなるかも…と思う人もいるのではないでしょうか。この映画を見る限りアメリカでも日本と同じように選択式試験が中心なんですね。

課題を学習して自分なりの考えが答えられる人にとっては選択肢から答えを選ぶなんてきっと拍子抜けでしょう。「ちゃんと意見が言えるんだから書かせろ!」という自信と気概さえ感じられます。

私は娘がどう感じるのか、この映画(本編のフィンランドセクション)を一緒に見ました。
まだ受験や本格的なテストを経験したことのない小学生の娘にとっては先のシーンはピンと来ていないようでした。まあ、当たり前といえばあたりまえですけど。ただ、小学生にどんな遊具がほしいか、クラス全員で考え自分たちで話し合い、その意見が通ったこと、実現した遊具で遊ぶ子供たちの姿を見て「いいなー。自分たちで決められるなんてすごいな。日本じゃありえん!」と驚いていました。

子供にとっては自分の家庭と学校が世界のすべてです。
自分は知らなくとも世界にはさまざまな価値観があり、あなたと同じような子どもたちが同じ時代に今このときを生きているんだ、ということも、まずは家庭の中から積極的に伝えていきたいと考えています。

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