小学校6年生と中学校3年生を対象に、2007年から実施されている「全国学力テスト」。

正式名称は全国学力・学習状況調査。

調査の目的
義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から,全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し,教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図るとともに,学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。さらに,そのような取組を通じて,教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。

引用元: 文部科学省 全国的な学力調査(全国学力・学習状況調査等)より 

応用問題なのに全部答えが同じ?

学力テストは基礎問題と応用問題に分かれており、娘の学年でも過去問に取り組んでいます。

友だち数人と集まって家で宿題をすることもあるのですが、漢字や計算式、面積などの基礎問題はみなさっさと終わらせています。ところが応用問題になると「わからな~い」と嘆きがはじまり、あーでもない、こーでもないと苦悩する声が聞こえてきます。

どんなものなのか国語の問題を見てみると、ある小学生が何かについて調べた内容があり、資料を複数読んで、その子が感じたメモを作るというもの。この資料に基づくいくつかの質問があり、最後にある条件を守ってメモの一部を完成させなさい、という感じでした。

この条件が「資料の〇〇から選ぶこと、資料にある〇〇という言葉を使うこと、〇文字以上〇文字以内で書くこと」と毎回同じようなパターンで現れます。

つまり、提示された資料から、決まった言葉を使って、決められた文字数に収める、の3点が合っていれば正解になるわけです。文中の引用なので最終的にはどの子も同じような答えになります。

「考える」ことより「テクニック」に集中している

どんなふうに答えるのか観察していると、子どもたちはまずは条件を満たす言葉を選んでいました。そして文字数の調整。

「あー、これじゃ入らん!」
「〇〇ちゃん、点(句読点)を消してみれば?」
「まだ、はみだすよう。」
「うーん。わかった!〇〇〇(接続詞)を抜いてみれば!?」

「テスト」ですから、答案用紙にある程度制約をつけなければならないことはわかります。
〇をつける基準がないと評価できないのかもしれません。

でも、子どもたちのやりとりを見ていて、私はとても違和感を感じました。

彼らが懸命に考えているのは、与えられたキーワードを使って文字数に収める正解するためのテクニックであって、自分でどの言葉を選び、どのようにまとめれば伝わるかを、自分の頭で考えているわけではないのです。

もし、メモを完成させるのに原稿用紙1枚分書く、という問題ならどうでしょう?

登場する小学生とはまったく違う意見を持つかもしれません。
引用するにも、どこを抽出するかで理解力が試されます。
400字で表現するには資料やポイントをかなり理解していなければできません。
わかるように伝えるには、文章の構成も大切です。

これなら自分の頭で考えないと答えられないし、全員が同じ答えになることはあり得ません。

「そんなバラバラな答えでは平等に評価できないではないか!」という意見がでるのでしょうか?


個人的には先生方も尽力されていると思いますし、生徒一人ひとりのことを真剣に考えてくれています。先生方個々で思うところがあっても、学校や教育委員会など組織の方針など様々な事情があることも想像します。

学力テストは都道府県別に順位がでるため、この時期、学校の参観では「全国平均より上か下か、県内では上か下か」の話題が中心です。上位をとることに躍起になっている学校、先生、そして平均を意識させられる子どもたち

みんな真面目に取り組んでいるのに、なにか違う方向に進んでいる気がしてなりません。

本来の教育ってなんだろう?

自分が受けた教育、そして子どもの教育に親として関わりながらそんなことを考えています。

***
2017年3月に米中韓日の高校生を対象とした授業傾向の調査が出ていました。
日本は他国に比べてノートはきちんととるが、試験直前にまとめて勉強し、グループワークなどの参加は消極的という結果が出ています。「自分で考えようとする」も4か国最下位でした。
以下に調査結果に関連した記事を書いています。

キャンペーンやチャレンジ企画はメールマガジンご登録者優先でご案内しております。最新情報をお受け取りになりたいかたはこちらからご登録ください。
「ライフシフトデザイン通信」登録はこちら