「学校から帰っても休日もずーっとゲームやってます」
「友だちが集まったらゲームばかりなのよ…」
授業参観のあと立ち話していたおかあさんがため息交じりに呟いていました。
宿題もやるにはやるけど、ゲームしたいがために早く終わらせる。
レストランで。スーパーで。歩きゲームでぶつかってる姿を見たこともあります。
大人の歩きスマホで事故も起きてますし、もはや社会的な依存症ですね…。
Contents
ゲームを禁止するだけではダメ。デジタルメディアを主体的にコントロールする力を育てる
みーんなゲーム持ってるから私もほしい。
でました。子供の口癖あるある。
娘:「1年生はね、みーんなゲーム持ってるんだよ」
私:「みんなってだれ?」
娘:「〇〇ちゃんでしょ、△△ちゃんでしょ、XXちゃん。」
私:「3人だね」
娘:「〇〇ちゃんの妹は3歳なのに持ってるし、△△ちゃんはDS7台も持ってるんだよ!」
同級生ならずも幼い兄弟姉妹や所有台数にまで言及してあの手この手で攻めてきます。
娘は大してゲームに興味を示しませんでしたが、小学校に入ったとたん、ほしいほしい攻撃が始まりました。私たち親はふたりともゲームをしないので、必然的に家にはゲーム機はありません。小学生となり、環境や友だち関係もガラリと変わったと同時に、周りではゲームを持っている子の方が多く、遊びの中でゲームをする比率が高くなってきました。
うちではゲームを一切禁止にしていたわけではありませんが、低学年のうちはとにかく外で体を動かして遊ぶことが優先と考えていました。ゲームの刺激は依存性が高いので、自分をコントロールできる高学年前には買い与えないことだけは決めていました。
ゲームの楽しさを超える刺激がなければ子供がゲームに夢中になるのは当然
ゲームは面白いように、飽きないように緻密に設計されています。
大人も夢中になるのですから子供には相当な刺激です。
自立心が確立していない幼い子供であればすぐにのめりこみ何時間でも没頭します。
集中して遊ぶことが子供の才能なのですから、ほどほどにゲームをする、ということは小さいうちは難しいでしょう。自分をコントロールする力がないのですから、「やめなさい!」と怒ったところで自分でやめることはできないのです。
刺激があれば子供の興味はすぐ動く。怒るのではなく仕掛けづくりを考える
ゲーム以上の刺激があれば、子どもは自然にそちらに興味を奪われます。
とにかく子供は好奇心旺盛。なんでも知りたい。なぜ?なぜ?を連発する生きものなんです。
ゲームへの興味を奪うのではなく、別のものにスライドさせる。
そんなイメージで子供を観察して環境を仕掛けていきます。
うちの場合は、自然豊かな山々に囲まれた地方の田舎にいるので、この環境を享受しない手はありません。娘がまだ小さい頃からフィールドを楽しむ遊びを取り入れたり、夜行バスで帰省して移動する楽しさを味わっています。
その結果、「みんなもってるからおねだり」はそれほどエスカレートせずにたまに友だちから借りる程度で納得し、刺激に満ちたアクティビティで好奇心を満たせるようになってきました。
満を持してお年玉でDSを手に入れたのは高学年になってから。そのころには自ら決めたゲーム時間を守れるようになっていましたので、友だちと一緒にほどほどに、外遊びをしたりゲームをしたりとバランスよく遊んでいるようです。
ところで、ゲーム以上の面白い刺激って?
これは家族の嗜好や住んでいる環境、子どもの興味により家庭によりきりだと思います。
娘の場合は今ある環境でできることを親とともに経験して、将来はお友だちとも楽しめるようなことをやってきました。いくつか紹介してみますね。
外でごはん、寝袋もテントも楽しい「キャンプ」
これは大人も子供もテンションあがりますよね!
明るいうちから外でごはんをジュージューやって、暗くなるまで時間を気にせず外であそぶ。
疲れたらテントの寝袋にはいり、ランプの優しい光でうとうと。虫の声や動物の声、夜の怖さで寝られなかったらどうしよう…と思っていたけれど心配ご無用。遊びつかれて泥のように眠ってました。テントの張り方もコツがいるのでとても頭を使います。
憧れの空へ!初体験「パラグライダー」
保育園時代にはじめて訪れてパラグライダーをやってみたい!と思ったのですが、さすがに機材を背負って空中に浮くので小学生以上という制約がありました。翌年はひとりで飛べることに。インストラクターが付き添ってくれて、いち、にの、さん!で地面を蹴ったらふわり。
ほうきで空を飛ぶことが夢の娘にとっては忘れられない体験となったようです。
新緑シーズンは最高!「山と緑に囲まれてカヌー体験」
緑がまぶしい5月は本当に新緑が気持ちいいです。
カヌーというと急流下りを想像しますが、ここはダムを利用しているため流れも緩やかで子供でも楽しめます。ターンしたり、バックしたり、友だちと競争したり。向こう岸に上陸したあとはカヌーで運んできたおべんとうを食べます。万が一ひっくり返ったらおべんとうもおじゃん。でも救命胴衣は貸してくれます。立ち上がらなければまず大丈夫。
これぞ田舎のあこがれ!「清流あそび」
流れが緩やかな自宅ちかくの川で魚をとったり、蟹をとったり。
しかし、山の中腹、ひとが下りていける清流をみつけたときは「これだー!これやってみたかったのだぁ!」と私が興奮してしまいました。数メートルある岩から男の子たちが飛び込んでいます。私や娘はとてもとても勇気がないけれど、流れで涼んでいるだけでも大満足。ちょっと先に行くと水深も深くなるので自己管理が必要ですが、娯楽用プールとはまったくちがう自然のプールに大感激です。
雨が待ち遠しい。水辺の「ほたる」に癒される
梅雨はいままで憂鬱な季節でしたが、田舎に住むようになってからはこの時期にしか見られないホタルに会える貴重な季節となりました。しかも雨が降る前夜がたくさん飛ぶので、天気予報の雨マークを見れば「よし、今夜だ!」と懐中電灯をもってでかけます。蒸し暑いのでショートパンツで歩いていたら、近所のおじさんにヘビが出るので長ズボンが良しと教えてもらいました。ほわん。ほわん。と優しい光りにとても癒されます。
ドライブがてら高原へ。ラベンダーが香る「ハーブガーデン」
とにかく山がない、まったいらな関東平野で育った身としては、高原という響きだけでもう憧れがあります。長野県の美ヶ原高原が唯一の幼いころの思い出でしょうか…。それが、これまた4-50分でトンネルを抜けると爽やかな風が吹き、青々とした牧草地が広がるのです。鉄板の高原アイスを食べて、ハーブガーデンのカフェでひとやすみ。ラベンダーの収穫もできるし、アースカラーの素敵なリースづくりも楽しめます。女の子にはもってこいでしょう。夏休みには関東の姪子たちも一緒に体験してそれぞれ個性的なリース作品が出来上がりました。
わずか40分で真白なゲレンデ「スキー&スノーボード」
スキーに行くには蔵王、水上…と夜中に出発して高速乗って・・・と大変な思いをしていた関東時代を考えると、ゲレンデ好きにはもう天国でしょう。家から40分でコースに辿り着くのですから。住んでいるところは多少積もるものの雪深いほどでもないのでこのくらいの距離はいい感じです。冬遊びはもっぱら旦那さんにお任せですが、数年スキーをみっちり教え込んだあとに今ではスノーボードを満喫しています。シーズンチケット買って毎週行くってどれだけ好きなの!?これからは友だちとも存分に楽しめるでしょう。
帰省はあえてゆっくり夜行バス「バックパッカー体験」
当初は飛行機で帰省していたのですが、日本国内は飛んだと思ったらドリンクタイムですぐ着陸ですよね。さっき山の中にいたのにもう東京のど真ん中、というのは早くてよいのですが旅とは程遠い。オーストラリアでは休暇になるとグレイハウンド(長距離バス)でバックパッカーを楽しんでいたので、娘もおおきくなったら物怖じなく世界を旅できるようになってほしいと帰省にも夜行バスを使ってみることにしました。泣いたらどうしよう!夜行だし逃げ場ないし!と不安もあったのですがやってみなきゃわからない。ふたを開けてみれば、ひとり用のカーテンをシャッと締めてさっさと眠りについていました。将来ひとり旅も問題なさそう?
誰かが作ったしくみの中で「与えられた遊び」ばかりしているとコントロールされる側になっていく
せっかくこの土地にいるのだから、娘には都会では味わえない、田舎ならではの豊かな体験をしてほしいと思っています。これだけ刺激的で楽しいことが大してお金をかけずに体験できるのは、まさに田舎ならではの大きなメリットではないでしょうか?
自然の恵みだけでまったくお金がかからないもの、あっても数百円~数千円で体験できるものばかりです。兄弟姉妹が多い家庭でも家計を心配せずに子供も大人も満足できるのだからこんなに素敵なことはありません。
テーマパークもたしかに子供には刺激的です。
しかし、作られた仕組みの中でしか遊ぶことができないと、いつまでも消費者としての立場を抜け出すことができません。誰かの仕掛けでお金を使うことがなにも疑問に思わなくなり、そのようなお金の使い方が豊かさの象徴であると勘違いしていきます。巧みなマーケティングに操られ、自分から楽しみを作り出す創造性や勉強したいという意欲は育ちません。
モノより体験!環境を生かして「遊びながら学ぶ」。親と子供が一緒に楽しんで共有できる世界が大切
私たちの場合は今ある環境をあらためて眺めることで、こんなこともできる、あんなこともできると発見していきました。外から来たからかこの環境にとても魅力を感じますが、同じ場所で暮らしていてもこのような体験にまったく興味がない方ももちろんいます。生まれたときからあたり前のようにあるものは、目には映っていても価値を感じないのかもしれません。自分にとってはそこにあって当然のものだから。
ただ、アウトドアに限ったことではなく、自分たちが置かれた環境で存分に楽しめるものを見つけていけばいいと思います。
たとえば都会なら演劇やコンサートはより身近に体験できるでしょうし、研究所でサイエンス体験や宇宙実験に親しむことだってできます。要は「ゲームよりもっと楽しい現実の世界がこんなにあるんだよ!」ということを親が子供と一緒に体験・共有することが大事なのです。
ヒップホップダンス、ピアノ、英語、プログラミングといったお稽古ごとに力を入れているお母さんも見かけますが、子供の才能をみつけて伸ばすという側面はあっても、ママたちが傍らでおしゃべりしてぼーっと眺めているだけでは世界を共有できません。
親も子どもと一緒にわくわくして楽しむ。
ときには挑戦してこけたり失敗したり。
おかあさんよりも私上手にできる!を発見したり。
そんな自分と同じ位置で共に楽しむ人間味あふれた親を見ることで、「勉強しなさい!」ガミガミ目線の威圧的な親以外の一面をこどもたちは発見するでしょう。
子どもたちはもはやデジタルメディアを避けては生きていけません。
ゲームをやるときはやる。時間を決めて集中して、攻略法をとことん研究すればいいです。
家庭でいくらゲームを禁止したとしても、モバイルラーニングやAIの急速な進化で、学習や暮らしの中にまでどんどんデジタルメディアが組み込まれていくのですから。スウェーデンの学校で必修科目にとりいれた「マインクラフト(Minecraft)」は、日本でも導入する学校もでてきていますし教育の場もどんどん変わっていくでしょう。
そのような時代を生きる子どもたちには、新しい技術にただコントロールされるのではなく、圧倒されて立ち止まるのでもなく、主体的にデジタルツールを使いこなして、リアルに学んできた経験から知恵を引き出し、もっともっと心豊かな人生を共有してほしいと願います。
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