現在、小学校での英語教育は週1回の「外国語活動」がカリキュラムされています。
2020年からは小学校3年生から英語教育の必修化、小学校5年生からは正式教科化となり、他の教科と同様に成績表で評価されることが決まりました。
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親世代の価値観とまったく違う世界を生きる時代の子どもたち
小学校高学年の娘のクラスには英語を母国語とするALT(Asistant Language Teacher)が教室に来て会話中心の授業をしているようです。
今朝、ごはんのときにこんな会話がありました。
私:「どんなふうに?」
娘:「Appleだったら、アッポー(例の真似をして)でしょ?」
「だけどAくんは”あっぷる”って」
私:「なるほどー。日本でもりんごはアップルってカタカナが存在するからね」
「『オレの中でりんごはあっぷるなんだよ!』って気概を感じるねー」
娘:「Aくんまちがっても大きな声でいうしおもしろいんだよー」
私:「それは大事だよ。合ってるとか間違ってるとかよりもずっと大切!」
正しい英語にこだわりすぎて間違いや失敗を恐れるあまり、依然として英語が話せない日本人が多い中、Aくんの態度はとても微笑ましく、良い機会だと思ってこんな話をしました。
これからは英語ネイティブより、そうじゃないひと=〇〇(娘)のように母国語があって英語を勉強するひとたちと一緒に仕事をしたり友だちになったりするよ。
色んな国のなまりの英語のほうが主流になるから堂々と日本人なまりで話していいの。
これからは英語ネイティブがなまった英語を理解する努力が必要になるよ。あのひとたちのほうが大変かもね。英語はどこでも通じると思って勉強しないからね。
まあ、「あっぷる」では伝わらないから私たちも伝える努力はしなきゃいけないけど、なまってるからって恥ずかしく思うことなんて、ぜ~んぜん、まったくないからね!
私が学生のころ英語を使って仕事をしたい人は、自ら海外という環境を積極的に選んでいました。でも、これから社会にでていく子どもたちの世代はどうでしょうか。「英語でしごとをする環境」を自ら選ばなかったとしても、職場で、地域で、コミュニティで、あらゆるところで日本人以外のひとたちとコミュニケーションをとる必要性がすでに出てきています。
私は海外なんか興味ないから関係ない、と言える時代ではありません。
これからは、海外に行こうと国内にいようと、英語圏でないひとたちと「英語というツール」を介して意思疎通していくことが求められるのです。
英語は言語というより音楽。発音にこだわらず「音の高低」と「リズム」でメロディを奏でる
ツイッターで見かけたこのご意見は、「苦手」という抽象的な言葉を明確に分解しています。
「日本人は英語が苦手」なのではなく「日本人なまりの英語を恥ずかしがりすぎる」のだ。だから、カタカナ発音でゆっくり話す「日本人風英語」を世界に普及させればいい。要するに「日本人はLとRを区別しない。しょうがない、こちらで推測するか」と思わせるのだ。小学生から英語を学ばせる前に。
— G.D.Greenberg (@G_D_Greenberg) 2017年4月9日
日本人が6年間も英語を勉強してもろくに会話ができないことを学校の教え方が悪いと指摘する傾向がありますが、こうした日本人の心理的要因のアプローチを考えない限り、英語教育の時間を増やしても、低学年化しても状況は変わらないでしょう。
英語は日本語と違って抑揚があるので、これを真似ればほとんど伝わるものです。
わたしも娘も英語は言語というより「音楽」と思っていて、ピアノをやってきた娘の耳には音程とリズムが入ってくるようで、割と忠実に再現しているので驚きます。
意味はわからなくても定型文言などメロディで覚えてしまうものです。
その点、ピアノに限らず音楽をたしなむ子どもは言語学習も早いかもしませんね。
日本人同士で「発音いいね~」と評価したがる風潮もあらためたいですね。
何を伝えたいかが重要。目をみて胸をはって堂々と話す。
「私はあまり英語がうまく話せませんが…」の前置きも不要です。
ちゃんと喋っているのですから。
流暢に「私は英語が話せない」って英語で言えるってなんだか滑稽ですよね。
かくいう私もむかし使っていたことがありますが「?」みたいな顔されてからは使うのをやめました。謙遜とか卑下とかせず、間違っても日本語英語でも伝えたい内容を堂々と大きな声で話す。それだけです。
「グローバル化に対応するため英語教育を早期化する」の影に隠されてしまう本意
以前「講師は全員外国人」のキャッチフレーズでCMを展開していた英会話学校がありました。
このCMを見て全員白人の外国人を思い浮かべるひとは少なくないと思います。
外国人イコール白人。なぜでしょう?
「子どもが習うなら綺麗な英語ネイティブに教えてほしいわよねぇ」というママ友にきれいな英語ってどんな?と聞くとアメリカ英語なのだそうです。
こういう考えはどこから来るのでしょう?
私たちが中学高校とずっと習ってきた英語もアメリカ英語でしたよね。
私も私の親世代も戦争を知りませんが、そこまでさかのぼらないと見えないこともあるし理解できないこともあります。小学校高学年の娘はもう理解できると思い事あるごとに話をしています。
文部科学省が掲げる「グローバル化に対応するための英語教育早期化」という広告を盲目的に信じて振り回されてしまうと核心を見失う可能性があるのではないでしょうか。
- なんで英語の早期教育化が必要なのか?
- なんで日本では英語能力が浸透しないのか?
- なんで間違えた英語を話すと恥ずかしい気持ちになるのか?
- なんで完璧できれいな発音にそこまでこだわるのか?
「グローバル化の社会が来るから!」
「とにかく早く、負けないように英語を習得しないと!」
親が思考停止している状態では子どもたちもそれ以上の意味を知ることはできません。
子どもたちに勉強!勉強!というまえに、とくに意識しなければ素通りしてしまうことにも「なぜ?」と立ち止まって真剣に考えることが求められているのは私たち大人の方かもしれないのです。
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