自分の仕事に子どもの行事、学校・地域の役員、習いごとの送迎、週末のイベント段取、チケットの予約、身内の約束ごと、宅急便の受取り、業者への電話・・・。
あぁ、私たちはなんと多くの「用事」に振り回されているのでしょう!
子どもがひとりふたりならまだしも、兄妹姉妹が4人、5人という友人は、一体頭の中はどうなっているのか想像もつきません。
私は以前、自身のキャパシティを越えそうになると、もうToDoリストに頼らざるを得ませんでした。やることをひたすらリストにして終わったらチェックしていくというもの。最近ではカレンダーとToDoリストが合体しているものもありますね。しかしこれだと漏れは防げるものの、ぎっしり詰まった予定に意気阻喪し、どっと疲れが押し寄せ、もやもやとなにかスッキリしないのです。
Contents
忙しい人のための優先順位の考え方
やることに優先順位をつければ少しは要領よくできるかもしれませんが、とにかく毎日忙しいのだから、色々考える時間さえありません。(そもそも時間が足りないのですから!)実際、娘が生まれてから保育園のころは私も同じような状況でした。
そんなときに出会った本から思いもしなかった考え方に出会いました。
何年も前になりますが、本にセットされていたDVDの映像は未だに鮮明に覚えています。
掃除をしていたらきれいなグラスストーンが出てきたので、自分でもやってみよう、と思い立ちました。映像で見ていることと実際に体験したことでは、自分の無意識に刻み込まれる度合がまったく違います。ご存知の方もいらっしゃると思いますが写真と一緒にご覧ください。
※DVDの映像では、大きな透明のバケツに何キロもありそうな大きな石を入れていました。
大きな石
大きな石、小さな石、細かい砂。そして小瓶がひとつ。 |
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まずは、細かい砂を小瓶に入れてみましょう。 |
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次に小さな石、大きな石を入れていきます。 | |
石の間に隙間があり、大きな石がはみ出しています。 |
この順番ではすべて入りきらなかったので、次は入れる順番を変えてみます。
今度は大きな石から。 |
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小さな石もすべて入れて、最後に細かい砂を入れていきます。 |
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石の隙間を縫って、細かい砂がすべて入りました。 |
疲弊するのは「緊急のことがら」を常に追いかけているから
さて、「時間がない」ことと、石とか砂とかといったい何の関係があるの?と思うかもしませんが、これは象徴的に次のことを意味しています。
小さな石・・・・緊急性があり、かつ重要でないこと
細かい砂・・・・緊急性があり、かつ重要なこと
石の隙間・・・・緊急性がなく、かつ重要でないこと
ちょっと混乱しますね。
図に表すとこのようになります。
時間管理のマトリックス
私たちが活動するすべての事柄は、「緊急度」と「重要度」の二つの軸によって4つの領域に分けることができます。石や砂は次のことがらを表現しています。
緊急 | 緊急でない | |
重要 |
第1領域(細かい砂) |
第2領域(大きな石) |
重要 |
第3領域(小さな石) |
第4領域(石の隙間) |
私たちは、緊急なものに対応しないわけにはいきません。
それは、今すぐ私たちに行動を要求するものだからです。
第1領域は緊急で、かつ重要な領域である。即時の対応を要求し、なおかつ大切な結果と結びついているものである。第1領域の活動は、通常「問題」あるいは「危機」と呼ばれるものだ。私たちは誰しも生活の中で第1領域の問題に直面することがあるが、多くの人は第1領域の活動に完全に溺れてしまっている。こういう人たちは、問題に集中し、危機を管理し、締め切りに追われる日々を過ごすのである。そういう事態に陥っている人たちが逃げ込める唯一のところは、緊急でも重要でもない第4領域である。
(略)
第1領域だと錯覚して、実は緊急であるが重要でない第3領域に多くの時間を浪費する人もいる。この人たちは反応的であり、その生活は始終ほかの人の優先順位や期待に振り回されているだけである。引用元:スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」
たくさんのスケジュールをToDoリストでうまくこなしているように思っても、結局疲れ果ててモヤモヤが残る。なにかしっくりこないのは重要であるなしに関わらず、緊急性の高いものに「今すぐ!」といつも追いかけられているからかもしれません。
「重要」で「緊急でないもの」に集中することを意識する
先のグラスストーンを思い出すと、大きな石から小瓶に詰めれば小さな石も細かい砂もすべて入れることができます。しかし、細かい砂を先に入れてしまうと、大きな石は入りきらず残ってしまうことがわかります。
大きな石とは「緊急性がなく、かつ重要なこと」。
人間関係の構築や健康管理、勉強や学習・・・。「うーん、大切なのはわかっているけど時間がない」と言いたくなるものばかりですね。小瓶の大きさは決まってるわけですから、どこかの領域から時間を確保するしかありません。小さな石を減らすか、細かい砂を減らすか。
「緊急なんだから、対応しないわけにいきません!」
たしかにそうですね。
とくに重要で緊急を要するもの(第1領域)は、選択する余地もなく対応を要求されますからここから時間を得ることはできません。となると、緊急性は高くとも重要性がないもの(第3領域)と時間つぶしに習慣としているもの(第4領域)から確保します。
ただ、問題や危機が起こらないように事前に行動を起こすことはできそうです。
「病気なんだからしょうがない」ではなく、「病気にならないように食生活に気を付ける」「決まった運動を習慣化する」ことはできます。あらかじめ計画して実行することで、限りなく緊急度の高い重要なことがらを少なくすることはできそうです。
こうして他の領域から時間を確保して、重要であり緊急でないこと(第2領域)を実行する機会を創りだしていきます。
行動を決定づける「意志」のコントロール方法
「時間が足りない」という状況は緊急性の高いものに振りまわされ、その中で管理しようとしているから生じる問題であることはわかりました。そして不可能と思われた「時間を創出する」ことも工夫次第でできることもわかりました。
さぁ、いざ実行しようとするときに立ちはだかる壁は「意志の強さ」です。
これが厄介もので、今までいろんなことに挫折してきた、という方も多いのではないでしょうか。私も同じようなものです。
本ではこのことにも言及しています。
第2領域の活動を行うためには、主体的でなければならない。なぜなら、第1領域や第3領域の事柄は、向こうから私たちに働きかけてくるが、第2領域は、自ら進んで働きかけなければならないからだ。そして、第2領域の優先課題に「イエス」と言うには、一見重要に見える緊急な活動に「ノー」と言わなければならない。
(略)
最も優先すべきことは何なのか、しっかり決めておかなければならない。そして、気持ちよく、笑顔で、率直に、それ以外のことに対して「ノー」と言う勇気を持つ必要があるのだ。ためらうことなく「ノー」と言えるようになる秘訣は、自分の中でもっと強い、燃えるような大きな「イエス」を持つことである。小事に振り回されてはならない。「最良」の敵は「良い」なのだ。引用元:スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」
「最良」の敵は「良い」。
良いと思われるものが、まさか敵であったとは。
結局、優先順位をつけている状況では、簡単に「ノー」なんて言えない、ってことです。
意志の強さ、とかそんな問題ではないわけです。
まず、自分の「最重要優先事項」を考えなければ始まらない
私はこの本を読んだときに衝撃を受けて、自分の「最良」はなんだろう?と考えてみました。
でもちょっと考えただけで答えがでるような簡単なものではありませんでした。そうこうしているうちに、子どもは泣き出し今すぐ行動が要求され、思考は途絶えるの繰り返しです。
もし、この方法を実際にやってみようと思ったら、まとまったひとりだけの静かな時間が必要です。私は子どもを預けて見てもらう間にただひたすら考えを巡らせていたりしました。
今までだったらこうしてできた貴重な時間はストレス発散のためだけに使っていたのですが、時間の使い方を変えることで、忙しい日常に戻ったときの心の状態がまったく違うものになりました。今は娘も友だちと遊ぶことが楽しい時期ですので、ひとりの時間は図書館にこもったり、泳ぎながら悶々と考える時間を確保するようにしています。
自分の最良をみつけるためには、綿密な計画を立てる必要があります。
そのプロセスは、役割の定義(母、マネージャー、友人などの立場ごと)、目標設定、スケジューリング、日々の対応、の4つのステップから考えていきます。
その時、その状況により最優先すべき重要事項は変わってきます。週単位、月単位、年単位でも具体的な行動は違いますし、一度決めたら終わりではありません。こうして積み上げていく短期的な計画は、最終的に長期的なものとなり人生そのものとなります。
つまり、人生のミッションを考える壮大な話であって、そこから自分の役割、目標・・・とブレークダウンして考えていくことになるので、単なる「時間管理術」といった小手先のテクニックでは到底さばききれるものではありません。時間管理術という視点で便利な手帳やツールを探していても、結局、日々追いかけられる緊急度の高いことがらを多少要領よくこなせるのが限界でしょう。そしてすべてを達成したとしても残るのはひどい疲労感とストレスだけです。
7つの習慣はそのすべてが繋がっています。習慣のひとつ「重要事項を優先する」に興味をもって取り組んでみたいと思った方は、ぜひ自分でその方法を学び、そして実際に行動を起こしてほしいと思います。
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