短期間の海外生活であれば子供も楽しく過ごせますが、長期間となると子どもの気持ちを無視することはできません。小学生の娘とドイツベルリンで暮らすことを周囲に伝えたとき、「娘さんは海外へ行くことを納得したの!?」とよく聞かれました。「うちの子は絶対ヤダ!って…」もセットで。
おそらく多くの子が似たような反応でしょう。娘も最初はテンション下がってましたが今では海外生活を案外楽しんでいるようです。
そのへんの経緯を少しお伝えできれば。
これから海外生活を考えている方のヒントになれば嬉しいです。
Contents
「短期留学」は旅行気分で気楽だけど費用が高い
「夏休みを利用して親子で海外生活を初体験!」「この夏、親子でハワイプチ留学!」などなど、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドといった英語圏を中心に親子で海外留学が人気です。
数週間で英語が伸びるなんてあり得ないですが、英語漬けの環境を体験させてみたい…という気持ちもわからないでもありません。英語云々よりも未知の体験にお金を払う、という感じでしょうか?
一度でも海外に行ったことがあると、将来成長したときに「日本を出る」「海外に行く」というハードルが下がるし、日本とは違う世界があることを認識できる年齢であれば価値はあると思います。私も娘が海外に興味を持ちだしたタイミングで調べてみました。
ただね、価格が高いですね~。
この期間と内容でウン十万!?という値段を見るとちょっと躊躇します。余裕があるご家庭は海外旅行の延長で楽しめるのでしょうが、私は身の丈と費用対効果を考えるとう~ん?という感じでした。
「長期留学」は子供の転校や退学手続きが必要になる
長期留学をする場合、親が語学ビザを取得して子どもを連れていったり、ガーディアンビザ※を取得して親がいくら希望しても「さて子どもの学校はどうするの?」ということになります。
※ガーディアンビザ・・・18歳未満の子供が学生ビザで渡航する際に保護者として許可されるビザ。現在発給可能な国は、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア。
ちなみに親の海外赴任についていく子どもは、帰国のことを考慮して日本人学校に入ることが一般的なようですが、その場合は転出、帰国したらまた日本の学校に転入するので国内の転校とさして変わらないですね。
ただ留学を考えている場合はわざわざ日本人学校を選択しないでしょう。地元の子供が通う現地校、あるいは有料のインターナショナルスクールか。
娘の場合はドイツの現地校に通うことにしたので日本の小学校は退学手続きをしました。
ドイツの学校は外国人であっても大学まで基本的に無料です。ただ州によって大学有料化の動きはあるようですが、それでも日本で大学にかかる費用や英語圏の海外留学費用と比べれば非常に少額です。
娘は小学校ではなくギムナジウムという中高一貫校に入りました。すぐに授業にはついていけないので、まず「Willkommensklasse(ウィルコメンクラッセ。英語ではウェルカムクラス)」から始まります。ドイツ語を中心に、算数、英語、音楽、美術、体育などの授業があります。様々な国籍の子供が集まるクラスで日々刺激を受けています。
小学校卒業できないなんて子どもが可哀そう?
退学というと、問題を起こして学校を締め出されるイメージがありますけど、義務教育の場合はその概念がありませんので単なる「事務上の手続き」です。
「卒業式できないなんて…(かわいそう)」という方もいたのですが、私は日本式セレモニーにあまり意味を感じていなくて、国によっては6年生、7年生、8年生…と続いていくわけで日常の続きという感覚です。
履歴書にはもう小学校の卒業は書かないですし、学歴が意味を持つのは、義務教育が終わったあとの高校、専門学校、大学、場合によって大学院です。といっても学歴、職歴が収入軸になる世の中はどんどん変わっていくと思ってます。それよりも自分は何が好きか?どんなことに熱中できるか?を見つけ出し、行動することが重要になります。
子供の気持ちを海外に向けるのは日頃の会話から
転校や退学の手続き云々よりも、留学の概念もまだよくわからない小学生に対してどのように海外へ行く話をするか?のほうが大きい課題です。
子供は国内だろうが海外だろうがあまり関係なく「お友だちと離れるのがイヤ!」のほうが重大です。徐々に友人との関係性が強くなる時期なので、学校を離れるということが友達を失うくらい大きな出来事にように感じるのでしょう。中学になれば小学校の友達からあっというまに友人が切り替わるのですけどね…。
私も小学生で転校したので気持ちはわかりますが、最初は悲しくても新しい土地で新しい友だちができること、前の友だち+新しい友だち=友達倍増!を身をもって体験したのでそんな話もしながらたくさんの友人をつくれることはむしろ楽しいと話してきました。
子供の性格もあるし日頃から何に興味を持っていて、どんなふうに親子で話しているかがキーになると思います。
小さいころから「日本では常識だけど海外では違う考え方もあるよ」とか「必ず一度は海外にでること」をよく話をしていので、潜在的に日本を出ることに抵抗はなかったのかもしれません。また親自身も一拠点にとどまらず地方移住したり関東と行き来して常に連れていたので「動く」ということにさほど抵抗がないです。
それからピアノや犬猫が大好きなので、ドイツの音楽環境や動物に対する考え方を話していました。実際、あまりにも行儀正しく可愛らしい犬たちが街のあちこちに、電車にレストランにたくさんいるので大興奮です。
子供は環境変化に順応するもの。だから親の価値観が大事
子どもはどんな環境であっても順応して生きていく天才です。
環境って場所や囲まれている人だけでなく、親がどのような考えで育てているか?がとても重要な要素だと思います。そしてもっとも強く影響を受けるのは母親からだと。
海外に行くと環境があまりにも変わるので、適応できるのか?子供は納得しているのか…?と心配になるかもしれませんが、海外に行く行かないにかかわらず、日本にいても親の都合で子どもの環境は決まるのですよね。
親の転勤、周囲との付き合い方、食べるもの、休日の過ごし方、考え方、人生観・・・・。
「どんな環境であれ受け入れることができること」が子どもの強さです。
だからこそ親、とくに母親の考えや価値観はとても重要。
母親こそ「自分軸」をもって生きていくことがとても大切なんだと思います。
毎朝、ひと回りも大きな外国の子供たちの中にひとり入っていく娘の背中を見るたびにそんなことを考えて身が引き締まります。
キャンペーンやチャレンジ企画はメールマガジンご登録者優先でご案内しております。最新情報をお受け取りになりたいかたはこちらからご登録ください。
「ライフシフトデザイン通信」登録はこちら